「ムスリム・フレンドリー」と「ハラール」の違いについて(1)
最近、「ムスリム・フレンドリー」というイスラーム教徒を対象にした食事のカテゴリーを新聞などのメディアで見かける様になりました。この「ムスリム・フレンドリー」と「ハラール」とは何が違うのでしょうか?
日本での事例をあげて説明をいたします。
新聞に取り上げられたのは、横浜の「ラーメン博物館」の「ムスリム・フレンドリー」のラーメンです。これは、簡単に言うと「豚無し、アルコール無し」のラーメンです。これはイスラーム教徒にとって「ハラーム」(禁じられたもの)になり、食べる事が出来ません。
「ハラール」にするためには鶏肉も牛肉も調味料も調理器具も器も「ハラール」にする必要があるのです。
では、何故今、ここ日本で「ムスリム・フレンドリー」が出回っているのでしょうか?
それは、日本の決定権を持つ日本人に国際性・国際理解・知識と経験が無いからです。例をあげれば、
☆名古屋市で開かれたCOP10での、愛知県の対応
連日の長時間の国際会議にもかかわらず、「ガイドブック」には、冷凍の「ハラール肉」や食材を扱う店が1件のみ掲載されていました。CWIA代表に信頼のおけるレストラン、食事をたくさんのムスリムが聞いてきたのは、ムスリムはムスリムの意見を尊重するからです。
☆マスメディアのイスラーム・ハラールの誤報について
当会からも何度かイスラーム・ハラールについてのメディアへ誤報の訂正の要望をかけました。多くの場合、「訂正はいたしません。」という回答です。
18億人いるムスリムはその習慣によって様々ですが、もし、今後も日本の政府や公的機関がムスリムにこのままの対応をするのであれば、日本の「ハラール」は偽物だと言われてしまう日が来るかもしれません。
☆横浜「ラーメン博物館」の「ムスリム・フレンドリー」について
当会より、横浜「ラーメン博物館」へ「ムスリム・フレンドリー」の名称をアドバイスした、観光庁の担当者に報道のあった翌日に電話をし、意見を言っています。当会代表は会を発足する数年前に、観光庁から依頼を受けたリサーチ会社からヒアリングを受けています。リサーチ会社の担当者は「多くの大学の研究者・イスラーム学者にヒアリングを行ったが、思うようなリサーチ結果を得る事が出来なかった。そこで、名古屋にはたくさんのムスリマが集まっていると聞き、ヒアリングに来ました。」と。
どなたのアドバイスで「ムスリム・フレンドリー」を採用されたかは分かりませんが、実際の生活をしているムスリムの声は届いていないことがはっきりと理解出来ました。
観光庁の方は「ハラールにするのは難しいので、レストランに配慮している。」と回答されました。この「ハラール」対応は誰のためのものでしょうか?ムスリムが求める「ハラール」が日本でも理解される事を切に願っています。
以下、次回に続きます。